その他婚姻を継続しがたい重大な事由
離婚の理由としてもっとも多く挙げられるのは、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」です。何らかの理由で、夫婦が離婚生活を続ける意思をなくしており、一緒の生活に戻る見込みがないなど、夫婦関係が破綻している状態を指します。具体的には、「別居の有無やその期間」「暴行・虐待」「性格の不一致・価値観の相違」「宗教活動」「性的不能・性交渉拒否・性的異常」など、配偶者の親族との現状との不和」「不貞に関する行為」、「それに準ずる」「精神障害」「難病・重度の身体障害」などに該当しないとして裁判所としては決定的な理由にならないとし、いくつかの理由が重なることにより婚姻の継続がむずかしいと裁判所が判断した場合に離婚が認められます。ドメスティック・バイオレンス(DV)という言葉でも知られる暴行・虐待は、身体的な暴力だけでなく、無視や暴言などの精神的な暴力も含まれるようになりました。裁判においても、DVが原因で離婚が認められることがありますが、その際には証拠が必要です。「性格の不一致・価値観の相違」については、単に嗜好が合わない、といっていることが気が置く程度では、離婚の重大な事由として認められることはまずありません。このようなことはどの夫婦にもあることだからです。ですから、性格の不一致に加えて別居期間しているなど、具体的に夫婦関係の回復の見込みがないと判断できる事実が必要となります。「宗教活動」も離婚理由となり得ます。もちろん、信教の自由はあるわけですが、行き過ぎた活動の悪影響によって、家庭生活が維持できなくなったり、子どもの教育に支障をきたすようなことがある場合、婚姻を継続しがたい事由と判断されることがあります。夫婦関係の充足、子どもをつくるためにの性生活は結婚のの大きな要素の一つですから、「性的不能・性交拒否・性的異常」も婚姻を継続しがたい事由に該当します。夫が妻とのセックスを拒否してアダルトビデオばかりを見ているようであればそれも当てはまります。「配偶者の親族との不和」については、たとえば夫(妻)が妻(夫)と自分の親や親族が不和な状況であることを気にすることなく、親や親族に同調し、配偶者がつらい状況に置かれ、それを放置した場合に離婚請求が認められることがあります。「不貞に関する行為」については、「不貞」にあたる性的関係には至らないまでも、配偶者以外の異性との関係が原因となって結婚生活が破綻した場合には、離婚請求が認められる場合があります。「回復の見込みのない強度の精神病に該当しない精神障害」については、神経症(ノイローゼ)、アルコール中毒、薬物中毒などがその対象となります。「難病・重度の身体障害」とともに、やはりこれらを理由に結婚生活の回復の見込みがないことが条件となります。暴力・虐待を受けている証拠例・医師の診断書・ケガの写真、器物破損の写真・暴言の録音・警察や配偶者暴力相談支援センターなどに連絡をとる(相談記録を残す)など(性格の不一致・価値観の相違など)夫婦関係が破綻していることを証明する証拠例・夫婦げんかの録音、日記やメモに記録・メールや手紙のやり取り・第三者への報告・親族や知人への証言など 宗教活動が婚姻関係に悪影響を与えている証拠例・宗教活動の実態を日記やメモに記録・寄付金額や活動費の確認(通帳等のコピー等)など性的不能・異常、性行為拒否などの性交渉に関する事実を証明する証拠例・夫婦の会話の録音、日記やメモに記録・メールやSNSなどでのやり取りを保存など