簡易裁判所とは
2025/09/05
◼️簡易裁判所は身近な裁判所裁判所と聞けば、厳格で権威的な場と思いがちです。しかし、地方裁判所や高等裁判所、最高裁判所はともかく、簡易裁判所は、民事調停や少額事件を扱う庶民的な裁判所と言えます。扱う事件も後述するとおり、民事事件(家庭内の事件、刑事事件は除く)のほとんどで、申立に当たっては、裁判所書記官などが手続きなどについて相談にのってくれます。また、簡易裁判所が扱う事件の申立用紙も用意(記入例を解説もある)されていますので、窓口で相談すれば、問題なく簡単に申立ができます。◼️簡易裁判所が扱う事件 簡易裁判所が扱う事件としては、貸金・立替金の返還請求、売買代金の請求、給料・報酬などの請求、クレジット・サラ金問題などがあります。また、簡易裁判所で行う手続きには、以下のものがあります。①支払督促②民事調停事件③訴え提起前の和解④訴訟訴訟価額が140万円以下の事件⑤少額訴訟60万円以下の金銭の支払いを求める場合の簡易・迅速な訴訟手続きですなお、簡易裁判所における民事事件手腕や簡易裁判所の民事事件Q&A・各種パンフレットについては、裁判所のホームページで見ることができます。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
民事調停が成立し調停調書が作成されると、判決と同じ効力があります。したがって、調停調書の内容どおりの債務を履行しないと、調停調書を債務名義(強制執行ができることを公的に証明する書面)として強制執行ができます。なお、民事調停では、家事調停と異なり、裁判所からの履行勧告や履行命令といったものはありません。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
調停を申し立てた後、あるいは調停の途中で示談したいと相手が言ってくる場合があります。こうした場合には、相手が裁判所の関与を嫌がっているか、調停で示される調停案が自分の思いどおりでないと予測される場合などです。こうした場合、調停を取り下げて示談するのは自由です。ただし、示談の相手が出した示談内容が納得できるものかどうか、十分に検討してください。一度示談が成立すると、原則、後で示談の無効を主張することはできません。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
金銭債務を負っている人が返済額などのについて調停を求める場合に、通常の調停と特定調停とがあります。通常の調停では、民事調停法による債務の調整ということになります。一方、特定調停は一般の民事調停の特例で、「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」(特定調停法)に規定されていて、支払不能に陥るおそれがある場合に限定されており、執行手続を無担保で停止でき、調停委員会が必要と認めるときには、貸金業者などに対して取引経過の開示を求めることができるなど、債務者にとって一般の調停よりメリットがあります。なお、一般の調停および特定調停においても、利息制限法の制限金利で計算し直して、債務を減額し弁済額を決めるというやり方は同様で、合意ができたら調停調書が作成されます。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
調停では、調停案が調停委員会より出されることがあります。この調停案で合意するかどうかは当事者双方の自由です。したがって調停案にどうしても不服なら調停案で合意する必要はありません。この場合、調停は不成立となります。調停案に一部修正を加えて双方が合意する場合もあり、慎重に検討してください。なお、多少の不満があっても、調停案で合意するのがベターな場合もあります。たとえば、損害賠償で、調停案として示された金額こちらが主張する金額より若干少ない場合などです。弁護士を付けて訴訟をして、果たしてそれだけの金額が認められるかを基準に判断してください。また、訴訟は時間もかかり、精神的にも疲れます。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
裁判所の調停委員会が調停主任および民事調停委員で構成されています。調停主任は、裁判官から裁判所が指定します。民事調停委員は、民事調停委員及び家事調停委員規則というのがあり、「弁護士となる資格を有する者、民事若しくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢40年以上70年未満の者(原則)の中から、最高裁判所が任命」します。こうして任命した人の中から、各事件について裁判所が指定することになります。したがって、気にくわないからといって解任の申立はできませんが、一定の事由がある場合には最高裁判所が解任できます。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
調停は、白黒の決着を付ける裁判とは異なり、あくまで当事者の合意で解決が図られるよう調停委員会が取り計らいますので、法律に不慣れな素人本人でも調停を行えます。民事調停の申立においても、窓口で相談に応じてくれますし、裁判所に用意されている書式に記入し必要な書類を提出すれば申立は完了です。法律について分からないことがあれば説明してくれますので、気軽に示談ができなかった場合の延長と考えて利用するのもよいでしょう。ただし、合意が成立すると調停調書が作成され判決と同じ効力がありますので、安易な妥協は禁物です。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
示談は法律に直接の規定があるわけではありませんが、法律上は和解の一種であるとされいて、当事者が話合いで紛争を解決する場合を言います。通常、話合いで合意ができ示談書が作成されます。一方、民事調停は、裁判所の調停委員会という機関において当事者が話し合い、合意ができると調停が成立し、この場合には調停調書が作成されます。この調停調書は、示談書と異なり判決と同一の効力があり、調停調書を債務名義(強制執行ができることを公的に証明する書面)として相手の財産に対して強制執行(差押え・競売)ができます。
民事調停についてのQ&A
2025/09/05
民事調停については民事調停法に規定があり、その一条に「この法律は、民事に関する紛争につき、当事者の互議により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする」と規定しています。このように、調停の目的は、裁判所での紛争当事者の話合いでお互いが譲り合って紛争を解決する、というものです。具体的には、調停機関である調停委員会(調停主任(裁判官)1名、民事調停委員2名で構成)で双方が話し合い、合意ができたら調停成立です。話合いがつかなければ調停は不成立で、訴訟などの法的手続きをとることになります。
特定調停の申立の手続き
2025/09/05
・申立時に手数料と郵便切手がいる特定調停は、原則として、相手方の住所・居所・営業所または事務所の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。申立人は申立時に、「特定調停の手続きによる調停を求める」旨の申述が必要とされています。簡易裁判所に用意されている書式には、この文言は記載されていますので、この書式を使用する場合には不要です。また、申立と同時に(止むを得ない場合には申立後遅滞なく)、財産状況等を示す明細書、その他特定債務者であることを明らかにする資料および関係権利者の一覧表を提出しなければなりません。ただし、こうした資料は、裁判所にある書式では申立書とセットになっており、したがって、順次、所定の申立書の書込み欄に記載していけばよいでしょう。申立手数料は、相手方1人(社)につき500円です。納付する郵便切手は、東京簡易裁判所の場合、84円切手5枚、10円切手1枚の430円分です。ただし、この郵便切手の額および内訳は、各裁判所により若干異なりますので、申し立てる裁判所で確認してください。・調停期日に話し合われること特定調停では、以下のことについて調整(話し合い)が行われます(特定調停法2条1項)。①金銭債務の内容の変更イ 六本の一部放棄ロ 利息・損害金の減免ハ 返済期間等の変更(返済期限の猫予・分割払い)・など②担保関係の変更イ 担保権の一部放棄口 担保不動産の差し替え・など③その他の金銭債務に関する利害関係の調整具体的には、消費者金融からの借入れであれば、金利(費者金融の利息は従前は年25%程度)について利息制限法(10万円未満年利20%、10万円以上100万円未満年利18%、100万円以上年利15%)によって見直しが行われ、2~3年程度の分割案が示される場合が多いでしょう。なお、調停委員会が特定調停条項案を提示するにあたっては、その案の内容は、債務者の生活や事業の立て直しを図るという観点から、公平かつ妥当で、合意することが当事者双方にとって経済的にも合理的なものでなければならないとされています。なお、当事者の双方が調停委員会が示す調停条項に服する旨の共同の申立があったときには、その告知によって合意が成立したものとみなされます。⭐︎ポイント返済総額の減免や分割払いなどの条件がポイント。
特定調停の申立をしたい場合
2025/09/05
・経済的に支払不能に陥るおそれのある人が利用できる特定調停については、序章の30ページで概略については述べましたが、簡単に言えば、特定調停は民事調停の特例で、金銭債務を負っていて経済的に支払不能に陥る(破綻する)おそれのある人・法人(債務者)が生活の立て直しや事業の再建を図るために、返済方法などについて債権者(お金の貸主など)と話し合う手続きです。なお、同種の借金整理の方法で自己破産がありますが、この場合は支払不能の常態にあることが必要とされます。通常の民事事件では、こうした金銭債務を負っている人からの調停申立事件は、債務弁済協定調停事件として扱われますが、特定調停の方が債務者にはメリットがあります(後述)。ただし、前述したように特定調停を申し立てるには、金銭債務を負い経済的に破綻するおそれのある個人あるいは法人でなければなりません。・特定調停申立のメリット特定調停における申立人(債務者)の主なメリットには以下のものがあります。①民事執行手続きの停止ー通常の民事調停では、調停の成立を不能または著しく困難にするおそれがある場合に、担保を立てさせて執行の停止が認められることになりますが、特定調停では、特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときも執行手続きの停止が可能で、無担保での停止も可能な場合があります。また、裁判所が作成した債務名義(確定判決など)による執行の場合には、民事調停では執行の停止は認められませんが、特定調停ではこの場合にも停止決定の対象となります。②当事者の事実を明らかにする責務民事調停法には規定がありませんが、特定調停法では、当事者(申立人だけでなく相手方)も債権または債務の発生原因、弁済状況等の事実を明らかにすべき義務を負うとされています(10条)。③文書等の提出の義務民事調停では文書等の提出の求めに対して、提出しない場合にも制裁はありませんが、特定調停では、調停委員会が特に事件に関係があると認める場合には、事件に関係のある文書・物件の提出を求めることができるとされています(12条)。正当な理由がないのに提出に応じないときには、10万円以下の過料の制裁があります(24条)。⭐︎ポイント債務整理では有効な手段。
調停が成立した場合と不成立の場合
2025/09/05
・調停が成立した場合当事者双方の合意で調停が成立した場合には、前項でも述べましたが調停調書が作成され、原則として後から不服を申し立てることはできません。調停調書を受け取るためには、裁判所に「調停調書交付の請求書」を提出して交付を受けることになります。この調停調書には確定判決と同様の効力があり、もし、その当事者の一方が調書に記載された一定の約束を履行しない場合には、もう一方の側は調書に基づいて裁判所に強制執行の申立をして約束の内容を実現することができます(42ページ参照)。・調停が不成立の場合調停が不成立の場合、トラブルを解決したいと思うのであれば、訴訟という方法があります。訴訟は紛争の対象となる金額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に申し立てます。なお、調停打切りの通知を受けてから2週間以内に訴訟を起こせば、調停申立の際に納めた手数料の額は、訴訟の手数料の額から差し引かれます。⭐︎ポイント調停調薯が作成されると判決と同様の効力がある。